昭和6年4月建立

田中富三郎翁と眞福寺|信仰と寄進に込められた想い
津山市加茂町にございます当山・眞福寺には、田中富三郎翁が遺された弘法大師尊像、御寄進石碑ならびに、位牌と関連資料が今も静かに保管されております。
田中富三郎翁は、明治の世を生き、信仰と報恩を大切にされたお方であり、当地の精神的支柱のひとつとして、現在も多くの方に敬愛されております。本稿では、当山と富三郎翁とのご縁、ならびに信仰の道を歩まれた足跡を辿りながら、そのお心を偲んでまいりたく存じます。
サムハラ神社奥の院と田中富三郎翁
田中富三郎翁のご信仰の中心には「サムハラ神社奥の院」がございます。サムハラ神社は、不思議なご神名と共に、厄除け・延命長寿の神として古より信仰を集めてまいりました。
富三郎翁は、この奥の院が鎮座する津山市加茂町の地に深い縁を持ち、神域の保護、整備、そして信仰の普及に尽力されました。奥の院は当時、地元の方以外にはほとんど知られておらず、険しい山道を経て参拝する場所でございましたが、富三郎翁の導きにより、多くの信仰者がこの地に足を運ぶようになったのです。
御寄進石碑と眞福寺への敬意
富三郎翁が当山・眞福寺へ寄進された御寄進石碑は、現在も境内に安置されております。その石碑は、彼がこの地を訪れ、当山を信仰し、仏道修行の一助とされんことを願って奉納されたものでございます。
石碑に刻まれた文字は、当時の書家によるものと伝えられており、その一文字一文字に、富三郎翁の信仰の深さと、仏道への敬意が込められております。当山にお越しの際には、ぜひこの石碑をご覧いただき、その歴史と想いを感じ取っていただければと存じます。
田中富三郎翁の建立した親族、関係各位の位牌
当山には、富三郎翁が建立した親族、関係各位の位牌が厳かに祀られております。この位牌は、法要の際に丁寧に供養され、今も富三郎翁の霊徳を称えるため、静かに守られております。
また、寺内には富三郎翁に関する古い文書や、写真資料も保存されております。その中には、当時の法要に関する記録、奥の院再建への支援文書、また寄進の証明となる書簡などが含まれており、いずれも歴史的に貴重な内容でございます。
富三郎翁の遺徳を伝えるために
今を生きる我々にとって、こうした偉人の足跡は、単なる過去のものではなく、今なお生きた教えであり、心の拠り所でございます。信仰とは、目には見えねど、人と人、心と心を結ぶ大切な縁でございます。
富三郎翁が生涯をかけて伝えた信仰と感謝の心は、後の世を生きる私たちの内にも、必ずや受け継がれるものでありましょう。当山といたしましても、これら貴重な位牌・資料・石碑を大切に守り、後世へ伝える責任を強く感じております。
古き資料と石碑、写真展示について
眞福寺では、富三郎翁に関する写真や資料の一部を、年に数回、特別展示としてご覧いただける機会を設けております。田中富三郎翁より御寄進された弘法大師空海の尊像は今でも大師堂で静かにまつられています。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせのうえ、お参りの折にお立ち寄りください。